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- 飛田展男 夢境の果てに 歌詞
- 飛田展男
- ふと目が覚めると
うっすらと差し込んでいる西陽。 もう夕刻に近い時間なのですね。 そして、此れは夢の続きなどではない、 現実なのです。 目覚めは、其れを知らされる瞬間なのです。 傷つき、倒れて 剣の道を閉ざされた私。 やがて変若水を飲んで 羅剎となった私。 其れを運命とするなら 覚めることなき悪夢のような運命かもしれません。 しかし、いま私の目に映るのは 金色(こんじき)の糸。 あやとりをしているかのような、 あれは紛れもなく今日の光。 そして遠くから君の聲が聞こえてきます。 そう、私は未だ生きています。 ならば、今は絶望と言う衣を纏わずにいましょう。 私にはまだ、やるべきことがあるのですから。 志は変わらずとも 刻々と変わってゆく常ならぬ日々。 確かな見通しなど或るはずも無く、 ただ、確たる真実は 此の道は自分が選んだということ。 私には、為さねばならぬ使命があるということ。 人が、闇を凝視していると 目が慣れて、全ての輪郭が見えてゆくが如く 私は、闇に寄り添ってゆくでしょう。 どのようなことが起こるとしても 己を捨てることが、今の私に出來うる最大のこと。 ふと、外を見ると いちまいの果てしない空が広がり、 いつになく深い群青色が目にしみるのです。 そして、微かな足音が 君の足音が聴こえて來ます。 そう、私はたわむれに 命を永らえたのではないのです。 私はまだ、夢を見なくてはならないのです。 眠っている時に見る夢ではなく 志という名の夢を。 其れが一-炊の夢であるなら 私達の手で 現実に変えるために 私は歩いて行きます。 たとえ夜に近い時刻であっても、 新たな、今日という日が來る限り。
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